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大村寿司

(おおむらずし)

錦糸卵の鮮やかな黄色が美しい、もてなしの席を彩る逸品

長崎県の中央に位置し、西に大村湾を望む大村市の代表的な郷土料理が”大村寿司”。祝いやもてなしの席で供される押し寿司(角寿司)で、20センチ四方程度の大きさにした二段重ねの甘酢飯で、かんぴょう、しいたけ、ごぼう、はんぺん、白身魚のそぼろ等の具を挟み、錦糸卵をのせて切り分けたものだ。戦国時代に大村氏の軍勢が勝利した際、領民が兵に差し出した歓迎の料理が起源だといわれ、しっとりとした酢飯に、豊富な具材の旨みと錦糸卵の甘みが加わり、調和のとれた風味が口にふわりと広がって美味だ。

古くから大村市に伝わる郷土料理。
室町時代、戦に敗れ領地を奪われた大村純伊(おおむらすみこれ)が、反攻して領地を奪還し帰還した際に、領民らがそれを祝うために押し寿司を作り供したのが起源とされている。
なぜ押し寿司だったのかというと、大勢の兵に食べてもらうための食器が足らなかったため。
領民らは浅い木箱(もろぶた)に大量の炊きたての米飯を広げて、具を二重に乗せた押し寿司を急ごしらえし、兵士らはそれを脇差しで四角に切りながら食べたのだという。
この伝承により、地元では「勝ち戦の祝いの寿司=大村寿司」となり、いまでもお祝い事に欠かせない料理として重宝されている。

材料もレシピも作る家庭によってさまざまだが、定番の具としては、はんぺん、にんじん、ごぼう、かんぴょう、きぬさや、錦糸卵などが挙げられる。シャリを味付けする際に、たくさんの砂糖を入れるのは、かつて砂糖が貴重であった時代に大量の砂糖を使うことで来客をもてなす気持ちを表していた慣習が、いまに伝わった結果といわれている。現代では健康を考慮し、砂糖を少なめにして作る家庭や、料理店が増えてきている。

主な伝承地域:大村市
主な使用食材:はんぺん、にんじん、ごぼう、かんぴょう、きぬさや、錦糸卵

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名称
大村寿司
(おおむらずし)

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